運送業を”運送屋さん”と言い換えると、トラックで貨物を運ぶ業者さんが最初に浮かぶのではないでしょうか?
広い意味では、貨物でも旅客でも有償で運ぶ事業は運送(運輸)事業ですね。運ぶ手段も自動車だけでなく鉄道、船舶、飛行機があります。
このページでは、運ぶものを貨物、手段を自動車に限定して、運送事業にどんなもの(種類)があるかを整理していますので、参考にしてください。
貨物自動車運送事業について
貨物自動車運送事業に関することを定めているのは「貨物自動車運送事業法」という法律です。
まずは基本的な事項として、どのような営業がこの事業にあたるか、その種別にはどんなものがあるかを確認しましょう。貨物自動車運送事業法第2条で次のように定められています。
貨物自動車運送事業法 第二条
- この法律において「貨物自動車運送事業」とは、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業をいう。
- この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。
- この法律において「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業をいう。
- この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。
貨物自動車運送事業とは
条文からではなかなかわかりにくいですが、3種類の共通点を言い換えれば、
荷主の依頼により、運賃等の対価を受け取って、自動車を使用して、貨物を ・・・運送する事業
となり、これが、貨物自動車運送事業の定義といっていいと思います。
そして、「荷主」と「使用する自動車」の違いにより、これが3種類に分かれるということになります。
貨物自動車運送事業の種類
先ほどの条文では、荷主はだれかということを、「他人の需要に応じ」と「特定の者の需要に応じ」の二つ挙げていました。”特定の者”とは特定した1社(または1人)を意味しますので、特定貨物自動車運送事業とは、特定の荷主1社専属の運送会社のようなものになります。
また、同じ条文で自動車については、「三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車」と「それ以外の自動車」、という書き分け方になっていますので、ここでも運送事業の種別がわかれます。
以上のように、貨物自動車運送事業は”荷主” と “自動車” の二つの切り口から3種類に分かれています。
整理すると
「一般貨物自動車運送事業」 =複数の荷主(特定していても不特定でもOK)から対価を受けて、軽・二輪以外の自動車で貨物を運送する事業
「特定貨物自動車運送事業」 =特定・単数(1社または1人)の荷主から対価を受けて、軽・二輪以外の自動車で貨物を運送する事業
「貨物軽自動車運送事業」 =複数の荷主(特定していても不特定でもOK)から対価を受けて、軽自動車・二輪自動車で貨物を運送する事業
ということになります。
なお、125CCまでの二輪車は道路運送車両法上では原動機付自転車に分類されるので、ここでは「自動車」に該当しません。従って原付で貨物を運ぶことは貨物自動車運送事業法の対象になりません。また一般/特定貨物自動車運送事業に使用する自動車は、軽自動車より大きい車と考えてよいと思います。
表にまとめると、次のようになります。
事業の種類 | 荷主 | 有償/無償 | 使用する自動車 | 運ぶ対象 |
---|---|---|---|---|
一般貨物自動車運送事業 | 複数(特定/不特定) | 有 償 | 軽・二輪以外の自動車 | 貨 物 |
特定貨物自動車運送事業 | 特定の1社 | 有 償 | 軽・二輪以外の自動車 | 貨 物 |
軽貨物自動車運送事業 | 複数(特定/不特定) | 有 償 | 軽自動車・二輪自動車 | 貨 物 |
貨物自動車運送事業の許可、届出について
「一般貨物自動車運送事業」と「特定貨物自動車運送事業」は、国土交通大臣の許可制です。特定貨物自動車運送事業は荷主が1社に限定されはますが、限定はついても許可を得るための要件は「一般」とほとんど違いませんので、特段の事情がなければ、通常は”一般”貨物自動車運送事業の許可を得ることを検討すればよいかと思います。
▼許可要件の概要は以下をご参照ください。
「貨物軽自動車運送事業」は、国土交通大臣への届出をすることによって事業が行えます。
届出に関する詳細は<貨物軽自動車運送の届出> <軽貨物運送の新規届出を行ってきました>をご覧ください。
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以上、貨物自動車運送事業の概要でしたが、一般・特定貨物自動車運送事業の許可を得るには、貨物自動車運送事業法、同法施行令、同法施行規則などの法令に加えて、国土交通省の公示(一般貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針、同細部取り扱い方針 など)を踏まえて、書類を収集、作成して申請を行わなければなりませんので、ビジネスの立ち上げ、拡大をお考えの事業者様には大きな負担となります。
当事務所では、準備の初期段階からお客様のビジネスプランをじっくりとお聞きして、事業のスタートに向けてサポートをいたします。
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