運送業許可の要件早わかり【2022年版】

運送業の許可は、ヒト・モノ・カネの3要素について要件が定められていて、許可を受けるには満たすべき要件や必要な書類が多く、申請の負荷の大きい許認可の一つといえます。
ここでは、詳細な要件の解説の前に、許可の要件や必要な書類等についての「基本」を確認していきます。

運送業許可のあらまし

貨物自動車運送事業法では、「一般貨物自動車運送事業」「特定貨物自動車運送事業」「貨物軽自動車運送事業」の3種類の事業を定めています。

 参考 : 3種類の「貨物自動車運送業」についての概要はコチラ

運送業(トラック運送)といえば、主に一般貨物自動車運送事業のことを言います。ではその事業の許可申請について、大まかに確認していきましょう。

許可要件

一般貨物自動車運送事業は国土交通大臣の許可制で、人的要件(ヒト)、物的要件(モノ)、財産的要件(カネ)に関して定められた要件を満たさなければなりません。

ここでは大まかに運送業許可を得るために必要な要件の概要を確認してみます。


人的要件(ヒトに関すること)

  1. 申請者や会社の役員が欠格要件に該当しないこと
    懲役などの一定の刑罰を受けた後、または貨物自動車運送事業法関連の許可取消し処分を受けた後などに一定の期間が経過していない場合など、欠格事由に該当すると許可を受けることができません。
  2. 担当の常勤役員が法令試験に合格すること
    許可申請後に運送事業に専従する常勤役員が、地方運輸局が実施する法令試験に合格しなければなりません。
  3. 必要な有資格者を配置すること
    営業所ごとに、有資格者である「運行管理者」、「整備管理者」を定められた人数配置しなければなりません。
  4. 必要な人数の運転者を選任すること
    通常、トラックなどの自動車が最低5両必要で、運転者も5名以上必要になります。

*運行管理者、整備管理者、運転者は許可申請時点では実際に確保・選任済みでなくとも、確保予定で申請可能です。

ヒトに関する要件の詳細は 人的要件をくわしく をご参照ください。

役員法令試験、運行管理者、整備管理者のそれぞれの詳しい解説は下記をご参照ください。

関連ページへのリンク

運送業の役員法令試験を知る

安全運行のカナメ 運行管理者とは?

貨物運送業の整備管理者とは?


物的要件(モノや設備に関すること)

  • 適法に設置された、使用権原のある適切な規模の営業所があること
    • 農地法や都市計画法、建築基準法などに抵触していない営業所が必要です。
  • 休憩・睡眠施設があること
    • 営業所または車庫に併設することが必要です(睡眠施設は必要な場合のみ)。
  • 営業所に併設または一定の距離内に、全車両が収容できる車庫があること
    • 原則は営業所に併設ですが、併設できない場合は一定の距離内(例:埼玉県では10㎞以内)に、一定の間隔を取って全車両が収容できる車庫を置かなければなりません。
  • 必要な数の(通常5台以上)の事業用自動車(トラックなど)があること
    • 霊柩運送など例外はありますが、通常はトラックなど5両以上が必要です。

モノに関する要件の詳細は 物的要件をくわしく をご参照ください。

農地法・都市計画法・建築基準法等に抵触しないことについては 「運送業 事業用不動産の条件とは?」に詳しく書いていますので、ご参考ください。


財産的要件(おカネに関すること)

  1. 事業開始に要する資金(=所用資金)の見積り
    •  役員、従業員の給与・賞与等の人件費や福利厚生費6カ月分、燃料・油脂費など6カ月分、車両費や設備(営業所・車庫等)は賃借なら1年分、新規購入なら購入費全額・・・など、運送事業に必要な経費を所定の様式に基づき積算して見積ります。
  2. 所要資金の常時確保
    • 1で見積もった所要資金の全額を申請時から許可まで「常時確保」することが必要です。通常は、預貯金の残高証明書を許可申請時に提出し、許可が出る前の役所の指示で2回目の残高証明の提出を行います。
  3. 賠償能力
    • 原則、対人賠償無制限、対物賠償200万円以上の任意保険に加入する必要があります。自賠責と任意保険料は、上記の事業開始に要する資金の見積りに算入します。

物的要件の項目に、最低車両数を書きましたが、霊柩運送は車両1台で許可取得可能です。従って、この場合、直接の車両費だけでなく、車庫も小さく済み、運転者の員数も1名でよいなど、所要資金全般について、トラック運送の場合よりも少なくて済み、始めやすいビジネスといえるでしょう。

おカネに関する要件の詳細は 財産的要件をくわしく をご参照ください。所要資金の見積り方の内訳も詳しく解説しています。


必要書類(関東運輸局の場合)

以下、関東運輸局の示す申請書とその添付書類の例です(運輸局により、若干違う場合があります)。

  1. 許可申請書
  2. 事業用自動車の運行管理及び整備管理の体制、運転者を確保する計画
  3. 事業開始に要する資金及び調達方法、残高証明書
  4. 事業の用に供する施設の概要及び状況を記載した書類
    1. 付近の案内図、見取図、平面(求積図)、写真
    2. 都市計画法等関係法令に抵触しない旨の宣誓書
    3. 施設の使用権原を証する書類(不動産登記事項証明書、賃貸借契約書 等)
    4. 計画する事業用自動車の使用権原を証する書類(車検証、リース契約書 等)
    5. 車庫前面道路の幅員証明書等(前面道路が国道の場合不要)
  5. 既設法人 :定款および登記事項証明書、最近年度の貸借対照表、役員名簿・履歴書
  6. 新設法人 :定款の謄本、発起人・社員又は設立者の名簿及び履歴書
  7. 個人   :資産目録、戸籍抄本、履歴書
  8. 欠格事由に該当しない旨の宣誓書
  9. 貨物利用運送を行う場合 :利用事業者との運送に関する契約書 等
  10. 法令遵守の宣誓書

(実際の申請書書式(埼玉運輸支局版)はコチラ… 【一般貨物自動車運送事業の許可申請様式】 )

許可申請手続きの流れ

許可申請書・添付書類の提出

申請先は地方運輸局長で、書類の提出先は営業所所在地管轄の運輸支局です。例えば埼玉県で許可を得る場合、関東運輸局長あての申請書類を、埼玉運輸支局に提出します。

運輸局における審査

標準処理期間は3~5か月とされています。書類不備等あれば補正指示があります。

役員法令試験

許可申請書受付後の奇数月に実施され、1申請につき同一の役員が2回まで受験可能です。2回までで合格しない場合、許可申請が却下処分(または自ら取下る)となります。

許可処分

要件を満たし、役員法令試験に合格した場合には許可処分がなされ、許可通知が運輸局から送付されます。

許可通知に同封された納付書により 登録免許税12万円 を納付し、領収書を種類に貼付して運輸局に郵送します。

許可証の交付

運輸支局から連絡がありますので許可書の受領に行きます。その際、新規許可事業者に対する指導講習の日時が指定されるので、担当の常勤役員と運行管理者にがこれを受講します。

許可から運輸開始まで

許可が出てすぐに事業が開始できるわけではないことも、運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可制度の特徴です。許可から運輸開始までの手続きをザっと記すと‥‥

  • 新規許可事業者等講習会 :事業者・運行管理者が出席(必須)
  • 運行管理者・整備管理者選任届出
  • 運輸開始前確認報告(社保加入、運転者選任などを報告)
  • 事業用自動車登録(緑ナンバーを付ける)
  • 運輸開始報告
  • 運賃・料金設定届

となっています。

運輸開始後は・・・?

運輸開始報告と運賃・料金設定届を提出すると、新規許可取得からの一連の手続きはいったん完了といえますが、その後も以下のようなイベントがありますので、念頭に置いておきましょう。

初回巡回指導

新規に許可(一般/特定貨物自動車運送事業)を取得した事業者については、運輸開始後3か月以内に、適正化事業実施機関(各都道府県のトラック協会が国交省から指定されて実施)による「初回巡回指導」が行われます。

これは、行政処分権限を持つ運輸支局による監査とはことなり、巡回”指導”なので、それ以前も法定帳票の整備など法令遵守に心がけた上で、指摘事項は「改善のための指導・助言」と、前向きに受け止めればよいでしょう(ただし、悪質性が高い場合などには適正化実施機関から運輸支局へ通報され、監査が行われることもあります)。

その後、適正化実施機関による巡回指導は3~4年ごとを目安に行われることになります。

定期報告

貨物自動車運送事業の許可には、建設業や産廃収集運搬業、宅建業のような有効期限がありませんので、更新手続きの必要はありません。

ただし、年に1回の定期報告が、2種類義務として課されています。これは、事業者ごとの決算年度における経営状況等を報告する「事業報告」と、国の年度4-3月にあわせて輸送実績等を報告する「事業実績報告」の2種類です。

事業報告者は自社の決算から100日以内、事業実績報告は毎年3月末までの1年分を7月10日までに報告を行います。

(参考リンク)

まとめ

以上、一般貨物自動車運送事業の許可申請について、満たすべき要件や必要書類、手続きの概要を説明してきましたが、複雑な要件、必要な書類の多さなど、新規許可を受ける手続きの負担の大きさをお感じになったのではないでしょうか?

弊所では、新規に一般貨物自動車運送事業の許可を受けようとする事業者様が、営業開始に向け、また営業開始後の事業発展に向け事業プランの策定や実行に注力できるよう、許可要件への対応のご相談に応じつつ、必要な書類の作成、収集と申請手続きを事業者様に代わって行いますので、ご活用をご検討ください。

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