貨物運送業 許可取得後にやるべきことは…

運送業(一般貨物自動車運送事業)は、他の許認可事業に比べても許可を取るまでの期間が長くかかりますが、許可を受けてから事業のスタートまで(一部は開始直後)に行わなければならない手続きが多いことも特徴のひとつです。

このページでは、運送業許可を受けてからの手続について、流れと要点を確認していきたいと思います。

許可後の全体の流れ

許可が出たら、まず登録免許税を納付し、指定期日に行われる「新規許可事業者講習会」に出席(担当常勤役員、運行管理者)します。

その後、以下のように準備や手続きを進めていきます。許可後1年以内に運輸開始することが必要です。

  • 車両の準備
    ・緑ナンバー登録の準備
    ・車体表示(車両側面に社名等の表示)
  • 要員の準備
    ・運行管理者・整備管理者選任届の提出
    ・運転者を確定し、初任診断受診と初任運転者教育の実施
    ・社会保険加入、36協定の締結
  • 運輸開始前確認(報告)
    ・運管・整管の選任内容や運転者名、車両の明細などを報告
  • 社内規定の制定と法定帳票の整備
    ・規定 :運行管理規程、整備管理規程、点検基準‥‥等
    ・法定帳票 :運転者台帳、点呼記録簿、運転日報、日常点検表・定期点検記録簿、教育記録簿 等
  • 車両の登録(緑ナンバーを付ける)
  • 運輸開始届の提出
    ・緑ナンバーが付いた車両の一覧、社保加入完了等について届ける
  • 運賃料金設定届出の提出

以下、上記の一つ一つの内容を確認していきます(一部の詳細は個別の記事に譲ります)。

車両の準備

既存の所有車であれば問題ありませんが、新規に購入する、またはリースで調達するなどのトラック等は、納車を受けるか、契約を完了するなどして車両を確定します。後述の運輸開始前確認報告には、登録番号または車台番号、最大積載量、車体の形状、所属営業所の一覧を記載します。

また、車両側面には社名等、自動車の使用者の名称等を表示することが法定されていますので、これを行うか準備します(車両の使用開始までに)。

要員の準備

管理者の確定

運行管理者・整備管理者を確定します。許可申請時に「確保予定」としていた場合、この段階で確定し、選任届を行えるよう、対象者の資格者証や実務経験証明書その他必要書類を確保します。

運行管理者・整備管理者選任届は、遅くとも「運輸開始前確認報告」と同時に提出することが必要です。

運転者の確定

許可申請の添付書類に基づいて、運転者の氏名を確定(確保予定としていた場合、採用するなどして確定)します。運転免許証の写しは、運輸開始前確認に添付が必要です。

また、対象の運転者について健康診断を受診させ、運転記録証明を取得します。

さらに、初任運転者診断を受けさせ、これを参考に、初任運転者教育を行います。

社会保険加入、36協定の締結

運転者を含め加入義務のある要員の社会保険加入を行います。加入を証する書類は運輸開始前確認報告に添付します。

運輸開始前確認報告の実施

この手続きは、平成27年から新たに導入されました。本文の冒頭に「X年X月X日付けで許可になった一般貨物自動車運送事業は事業用自動車等連絡書提出の準備が調いましたので報告します」と書かれています。

これにより運輸支局は、加入義務のある運転者が社会保険に加入したことを確認できれば、経由印が押印された事業用自動車等連絡書が事業者に発行され、これ以降対象車両の緑ナンバー登録が可能になる、ということを意味します。

なので、対象者全員が社保に加入した旨の記述とともに、車両の一覧(登録番号または車台番号、最大積載料、車体の形状、配置営業所名)も記入して提出します。

社内規定の制定と法定帳票等の整備

運送業では、貨物自動車運送事業輸送安全規則(運輸安全規則)を中心に、各種規定の制定や法定帳票による記録の保存が求められていますので、これらに対応できるよう規定を制定し、運輸開始後に適切な運行管理等を実施してその記録を保存できるよう、運輸開始前のこの段階でこれらを整備します。

社内規定

適切な運行管理等を行うため、運行管理規程、整備管理規程、日常点検基準、整備点検基準等の社内規定を制定します。

また、ドライバーらに時間外労働をさせる必要がある場合は、36協定を締結して労働基準監督署に届出を行います。

法定帳票等の整備

自社の運行等の実態に合わせてこれらの書式を整備しておきます。最低限整備が必要な法定帳票は以下の通りです。

  1. 運転者台帳
  2. 点呼記録簿
  3. 運転日報(乗務記録)
  4. 運転者指導記録簿(実施計画含む)
  5. 定期点検記録簿

法定帳票整備の詳細は‥‥

車両の登録(緑ナンバーを付ける)

運送業の許可書の交付や、運輸開始前報告等の許認可関連手続きは運輸支局の輸送担当部門が窓口で、これは埼玉であればさいたま市西区の埼玉運輸支局内に窓口があります。一方で、自動車の登録は運輸支局の登録部門窓口または各地の「自動車検査登録事務所」が窓口です。

埼玉県の場合でいうと、大宮ナンバーは埼玉運輸支局内の登録部門、所沢・川越、春日部・越谷、熊谷ナンバーはそれぞれの自動車検査登録事務所が窓口です。

運輸支局の輸送担当において、申請の自動車が事業用自動車として登録可能と確認できたら事業用自動車連絡書に「経由印」を押します。登録窓口は、自動車登録に通常必要な書類の他、経由印がある事業用自動車等連絡書を確認して、事業用自動車として登録(車検証発行)し、緑ナンバーを交付する仕組みです。

基本的な記載内容は申請者が記入し、輸送担当窓口に提出(上記の例では、運輸開始前確認と同時など)すると、確認印及び担当官印の欄に日付入りの印を押して返してくれます。この印が「経由印」といわれるものです。この書式は貨物以外のバス・タクシー、あるいは貨物でも軽自動車の黒ナンバー手続きに共通です。輸送担当窓口に提出する際、自動車登録の「手数料納付書」にも経由印を受けます(この時点では手数料の収入印紙は貼付不要)。

経由印を受けたら、自動車の使用の本拠の位置=運送業の営業所の所在地、で決定されるナンバーの地名表示を管轄する自動車検査登録事務所(例えば、越谷市に営業所がある場合越谷ナンバーになり、春日部検査登録事務所で登録を行う)に、他の必要書類を添えて申請します。

申請内容と書類に不備がなければ、「自家用・事業用の別」の欄が”事業用”となった車検証と、緑のナンバープレートが交付されます。ナンバーの取付には、原則として車両を持ち込んで後部ナンバーに封印を受けなければなりません。

以上でトラックに緑ナンバーも付き、準備が調いましたので、”運輸開始”できます。」実際に運輸開始した後は、以下の届出を行います。

運輸開始届の提出

「運輸開始届」はその名の通り、運輸を開始したことを(事後に)届出るものです。”X年X月X日付け関自貨第1234号により許可になった一般貨物運送事業は、Z年Z月Z日に運輸を開始したのでいたします」という」一文に続けて、以下を記載、添付します。運輸開始してから30日以内に提出します。

  1. 車両一覧表
     事業用として新しく付けたトラックの登録番号(ナンバー)、最大積載量、車の形状、配置営業所名
  2. 任意保険の加入状況
     対人無制限、対物200万円以上の保険に加入した旨を記載。
     事業用登録後の車検証(写)ともに、任意保険の保険証券等を添付します。
  3. 社会保険加入状況
     労災保険、雇用保険、健保、厚生年金にすべて加入済の旨を記載。運輸開始前確認報告の際に、労災の保険関係成立届や健保・年金の新規適用届の写しなどを提出していない場合は、運輸開始届に添付して提出します。

運賃・料金設定届の提出

運賃・料金設定届も運輸開始後30日以内に提出しますので、運輸開始届といっしょに用意、提出しましょう。

ここで一つ注意が必要なことが、運送約款と運賃・料金表との関係です。新規に許可を受ける事業者の多くが、運送約款は「標準貨物自動車運送約款」を使用するとして許可申請をしていると思います。

平成29年11月の標準運送約から、「運賃(運送の対価)」と附帯作業や積込み、取卸しなどの「料金」を明確に分けた約款の規定になっているので、運賃・料金表も標準運送約款と整合するように設定して届出することが必要です。

まとめ

以上が、一般貨物自動車運送事業について、許可を受けてから運輸開始直後までの一連の手続きの流れを解説しました。このようにして事業をスタートしたら、この後は初回巡回指導(適正化実施機関により、運輸開始届から3か月以内くらいの時期)があります。

また、一般貨物自動車運送事業の許可には期限がなく、したがって更新手続きもありませんが、事業報告書(事業者の決算から100日以内)や事業実績報告書(全事業者が毎年7月10日まで)を提出していかなければなりません。

このように、許可後のこと、事業を継続していく際に重要な安全運行の確立…などを考えた場合、一貫した支援を提供できる運送業専門の行政書士の活用を、ぜひご検討ください。

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