運送業の営業所を移転、新設するには

運送業(一般貨物自動車運送事業)の営業所を移転または新設(増設)するには、いろいろな要件を満たす必要があります。特に営業所として認可が受けられる立地(場所)にはきびしい要件がありますので、注意が必要です。

このページでは、立地に関する要件を中心に、営業所を移転、新設する際におさえておくべきことを解説していきます。

運送業の営業所移転、新設とは

営業所の移転、新設は認可事項

運送業の営業所の新設、移転は、事業計画の変更となるため原則として「認可」を受けることが必要です。認可申請が受理されてから認可が出るまで1~3か月程度かかります(標準処理期間)。ただし、同一市区町村内など地方運輸局長が指定する区域内の”移転”の場合は運輸支局へ「届出」を行うことで足ります。

運送業の営業所に必要な基本事項

運送業の新規許可には、トラック5両以上、運転者5名以上、運行管理者・整備管理者の選任、休憩・睡眠施設の併設(原則)、車庫との距離(例:埼玉県の場合10km以内)などが求められます。

新設営業所もこれらを満たす必要がありますし、移転の場合も同様となっています。

以上は、車庫や配置車両数に関して、あるいは運行管理体制や点検・整備管理体制に関して、営業所ごとに求められる基準ですが、その他に営業所自体が満たさなければならない立地面での要件が定められています。以下では、この点をくわしく見ていきましょう。

営業所の要件

移転するあるいは新設する営業所が満たすべき要件は以下の通りです。

  • 使用権原を有することの裏付けがあること
  • 農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に抵触しないものであること
  • 規模が適切こと
  • 必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること

①は、その場所(建物)を使う正当な権利があることという意味で、自己所有であれば登記事項証明書、賃借物件なら賃貸借契約書で明らかにできればOKです(賃貸借の場合、2年以上の契約期間または自動更新条項が必要)。

③④は明確な基準はありません。常識的に「事務所」といえる広さの場所で、事務机イス、電話・FAX、書類棚等を備えて、運行管理を含む事務を執ることができれば大丈夫です。

問題は②関係法令に抵触しないもの・・・という部分ですね。以下でこれをくわしく確認していきましょう。

関係法令に抵触しない‥‥とは

公示基準では、「農地法」「都市計画法」「建築基準法」を例示して、”等”の関係法令に抵触しないこと、としています。これ以外の法律が関係する可能性もありますが、基本的にはこの3法をおさえておきましょう。

農地について

農地法で、農地はその他の用途に使用することができません。そのため、農地には建物を建築することができないので、運送業の営業所は農地には設けることができません。

農地の転用(農転)許可には、半年~1年といった期間を要することも多く、また必ず許可されるというものでもありませんので、営業所用地としては農地でない土地を検討すべきでしょう。

市街化調整区域(都市計画法)

運送業の営業所の立地を検討する際に次に問題になるのが、都市計画法上の「市街化調整区域(略して調整区域)」です。調整区域は、”市街化を抑制する”区域として指定されるものなので、原則として建物を建築することができません。そのため、調整区域には運送業の営業所は設置できません。

ただし、建築当時に調整区域に指定されていなかったなどの理由で合法的に建築され、建物の用途が事務所である場合など、営業所にできる場合もあります(この場合でも、調査は非常に慎重に行う必要があります)。

用途地域と建物(都市計画法、建築基準法)

都市計画区域内で市街化調整区域でない区域は市街化区域となっている場合が多いです(その区分けがない場合もある)。市街化区域は、市街化を促進する区域なので基本的に建物の建築が可能ですが、その中が13種類の「用途地域」に区分されていて、一部の用途地域では事務所用途の建築が制限されるものがありますので、その点は注意が必要です。

(参考)
市街化区域の中は13の用途地域に分けられています。それぞれの用途地域内に建築できる建築物は、「東京都都市整備局HP ”用途地域による建築物の用途制限の概要”」で詳しく確認できます。

具体的には、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域(1500㎡以下で2階以下のものを除く)、田園住居地域は、事務所用途建物の建築が制限されますので、基本的に営業所の設置はできません。

但し、”兼用住宅で、非住居部分の床面積が、50㎡以下かつ建築物の延べ床面積の2分の1以下のもの”は、第1種低層住居専用、第2種低層住居専用、第1種中高層住居専用、第2種中高層住居専用の各地域において建築可能という例外があります。この場合、事務所兼用住宅であれば営業所とすることができます(田園住居地域は、事務所についてこのような例外はありません)。

以上、営業所を置けない場所(=正しくは、事務所用途の建物が建築できない場所)を挙げましたが、これ以外にも建築制限がかかっている場合も少なからずありますので、最終的には所在地の市区町村役場などでしっかりと調査、確認することが大切です。

プレハブやトレーラーハウスは・・・?

ここまで、営業所を置けない場所を説明しました。農地以外の場合は、建物の建築制限によるものでした。そこで発生するニーズが、車庫(無蓋のもの)は市街化調整区域に設けようとした場合に、営業所を併設または近隣に設置できないか、というものです。

このような場合に、プレハブやトレーラーハウスが検討の候補となりますが、これらはどうでしょうか?

プレハブの場合

建築物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根と柱または屋根と壁でできているものを言います。プレハブハウスは屋根と壁でできているという意味ではプレハブは建築物です。

あと問題になるのが、土地に定着するものなのか、そうでないのかということになります。土地に定着していなければ、建築物に該当しないので市街化調整区域にも置ける、というリクツです。これを、「基礎を打たないプレハブなら」市街調整区域の営業における、と理解できるでしょうか?

残念ながら、土地に定着しているかどうかは基礎の有無ではなく、「容易に移動できるか?」という点で判断されます。ブロックの上に置いたプレハブは、車輪がついているわけでもなく容易に移動できるとはいえないと判断され、したがって建築物に該当してしまい市街化調整区域には設置できません。

従って、市街化調整区域に営業所を設けたい、というニーズに対して「基礎無しプレハブ」は解決にならない、ということになります。

トレーラーハウスの場合

トレーラーハウスの場合は、基礎がないだけではなく車輪がついているので、けん引する車両があれば、容易に移動できないわけではないので、建築物に該当しない可能性もあるかと思われます。

この点、日本建築行政会議では、”車両を利用した工作物”について、以下の場合は「建築物として取り扱う」と示しています。

<建築物として扱うもの>

  • トレーラーハウス等が随時かつ任意に移動することに支障のある階段、ポーチ、ベランダ、柵等があるもの。
  • 給排水、ガス、電気、電話、冷暖房等のための設備配線や配管等をトレーラーハウス等に接続する方式が、簡易な着脱式(エ具を要さずに取り外すことが可能な方式)でないもの。
  • 規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況等から、随時かつ任意に移動できるとは認められないもの。

上記が「建築物として扱うもの」とされているので、実務上は上記に当てはまらない車両を利用した工作物は、建築物に該当しない=市街化調整区域にも設置できる(可能性がある)ということになります。

ただし、上記に該当しないだけでなく、実際に容易に移動できるような敷地構造(勾配、幅員、路盤等)が必要…といったこともあり、行政庁による微妙な判断・見解の差異もあり得ると思われ、トレーラーハウスの営業所検討は、慎重な調査や行政との調整等が必要と理解しておいた方が良いかと思います(当事務所ではトレーラ―ハウス営業所の許認可申請は取扱っておりません)。

必要な手続

営業所の新設、移転の際は、認可(基本。但し同一市町村内等移転は「届出」)を受けることが必要ですが、付随して必要な事(運行・整備管理体制に関すること、車両の登録関係)もあります。

認可申請

営業所の新設、移転の認可申請には以下の書類を揃えて、運輸支局に提出します。

  • 認可申請書
  • 運行管理の体制を記載した書類
  • 施設の使用権原を有することを証する書類(登記簿謄本、賃貸借契約書等)
  • 都市計画法等関係法令に抵触しない旨の宣誓書
  • 営業所の案内図、見取り図、平面(求積)図、写真
  • 法令遵守の宣誓書

付随して必要になる手続

  • 運行管理者・整備管理者専任届
  • 事業用自動車の連絡書発行と変更登録

①に関して、新設営業所の場合当然提出が必要ですが、移転の場合で運行管理者・整備管理者に変更がない場合でも、新しい営業所の位置(住所)で届出する必要があります。

②については、ナンバー管轄が変更になる場合はもちろん、管轄が変わらない場合でも自動車の使用の本拠の位置(=営業所の位置)が変更になるため、認可後に事業用自動車等連絡書に経由印を受けたうえで変更登録(車検証の書き換え)が必要です。


まとめ

農地は農地であるだけで営業所用地あるいは候補建物の所在地として不可なので難しくはありませんが、市街化調整区域は原則不可であるものの、建物が建築された経緯などによっては可能性があることで判断が難しい場合があります。さらに、市街化区域については用途地域と建築可能建物の関係も考慮が必要なので、判断の難易度はさらに上がります。

また、上記で解説した以外の法令による規制や自治体ごとに異なる条例や運用等もありますので、候補地の所在する自治体の都市計画課や建築指導課といったところに確認、場合によって折衝が必要になります。この場合、市町村の窓口は運送業の許認可要件について知識はゼロであるのが普通なので、確認自体もそう簡単には済まない場合も少なくありません。

営業所の新設、移転をご検討の事業者様、ややこしい基準の解釈やめんどうな書類の作成に悩むまずに、専門行政書士を活用してビジネスをスピーディに前に進めませんか?

当事務所では宅建士資格も持つ運送業支援専門行政書士が、物件の検討からしっかりとサポートいたしますので、お気軽にご相談下さい。

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