介護タクシー許可申請の書類と手続き

介護タクシーの許可でお困りではありませんか?

  • 介護タクシーの許可申請に必要な書類が多く、どこから手を付けていいかわからない
  • 図面の作成や道路幅員証明の取得など、どうやったらいいかわからない
  • 所要資金や事業開始当初資金の計算、書類作成が難しい
  • 現在の事業が忙しくて、許可申請の書類作成や収集、手続を行う時間がない

運送事業の中でも、「人の安全」に直結する旅客運送事業の許認可は必要書類も多く、内容も煩雑です。介護タクシーも、一部一般的なタクシー事業許可より緩和されている部分もありますが、基本的な部分は同じ手続きなので、簡単な申請手続きではありません。

このページでは、介護タクシー許可に必要な書類等と手続の方法について解説しています。時間と手間をかけ、役所に聞いて対応すれば自社でも許可申請は可能かもしれませんが、効率よく許可を取得して新たなビジネスに踏み出すには、書類作成や申請手続きは専門家の活用もご検討ください。

介護タクシー許可申請に必要な書類

以下は、関東運輸局の「一般乗用旅客自動車運送事業 経営許可申請書作成の手引き(福祉輸送限定)」と、「同 様式例」で、車両5台未満で行う場合のものを基に記して行きます(他運輸局では扱いが異なることがあります)。

必要な書類(一覧)

項目分類主な内容
事業用施設に関する書類
(営業所、車庫、休憩・仮眠施設、事業用自動車等)
・案内図、見取図、平面図、求積図
・使用権原を証する書面
・車庫前面道路の幅員証明書
・自動車の使用権原を証する署名
計画する管理運営体制・運行管理、整備管理、乗務や労働時間等の体制
・点呼の実施、事故防止の体制  等
事業の開始に要する資金総額と調達方法・算出項目ごと、指定の様式にて作成
・任意保険、タクシーメーターの見積
・算出した資金の確保を裏付ける残高証明
欠格要件に該当しない事などを証する書類・欠格事由に該当しない旨を証する書面
・法令遵守状況を証する書面
・社会保険に加入する計画を証する書面
申請者が既存法人の場合に必要な書類・定款又は寄付行為、登記簿謄本
・最近の事業年度の貸借対照表
・役員または社員名簿、履歴書
申請者が新設法人の場合に必要な書類・認証済みの定款または寄付行為の謄本
・発起人等の名簿、履歴書
・株式引受または出資状況等を記載した書類
申請者が個人の場合に必要な書類・資産目録
・戸籍抄本
・履歴書

表に要約した書類等について、以下、順に詳しく解説していきます。

事業用施設に関する書類

事業用施設は、営業所、車庫、休憩・仮眠または睡眠のための施設と、事業用自動車とがあります。以下、営業所、車庫、休憩・仮眠または睡眠のための施設はまとめて事業用施設(不動産)と記します。

事業用施設(不動産)に関する書類

  • 案内図
    ・地図上に、事業用施設(不動産)のすべての位置関係を示す大き目の範囲の図とします。
  • 見取図
    ・事業用施設それぞれについて場所が特定できるよう、周辺の施設等との位置関係を示します。
  • 平面図・求積図
    ・各事業用施設の平面の状況を図示し、寸法を示して面積を表示します(求積は別図でも可)。
  • 施設の使用権原を証する書面
    ・自己所有の不動産の場合は登記簿謄本(登記事項証明書)、賃借物件であれば賃貸借契約書の写し。
  • 車庫前面道路の幅員証明書(前面道路が国道の場合は不要)
    ・前面道路の道路管理者(都道府県または市区町村)から取得する道路幅員の証明書です。
    ・前面道路が国道の場合は不要。

事業用自動車に関する書類

事業用自動車の使用権原を証する書面
  • 自己所有車=車検証写し、リース=リース契約書、車両を購入する場合は売買契約書または売渡承諾書写し等
  • セダン型を使用する場合、乗務員が下記のいずれか資格を持っていることが必要( ( )内は申請書添付書類)
    ・介護福祉士(登録証の写し)     ・訪問介護員(修了証明書の写し)
    ・居宅介護従業者(修了証明書の写し) ・ケア輸送サービス従事者研修受講(終了証の写し)

計画する管理運営体制 

管理運営体制は、基本的には運輸局が示す「様式例2」を提出します。

運行管理者、整備管理者の欄は、車両5台未満で行う場合は、有資格者の選任は必要ありません。運転者の人数や拘束時間・労働時間等は労働省の「改善基準告示」に合致するよう設定し、記載します(⇒改善基準告示のポイントはコチラ)。

その他、点呼の実施方法、事故防止と事故処理体制等について記載します。

介護タクシー運行管理等の体制

事業の開始に要する資金の総額、調達方法を記載した書類

車両費、土地費、建物費…運転資金、保険料などなど、所要資金と事業開始当初資金を、様式例に基づいて算出し、以下に基づいて「自己資金」を「常時確保し」、預貯金の残高証明で証明(原則)します。

介護TAXI所要資金
所要資金と事業開始当初資金

残高証明で確保を証明する必要のある資金の額は、「所要資金」の50%以上で、「事業開始当初資金」の100%以上でなければなりません。なので、上表の合計額Aの1/2 または 合計額Bのどちらか大きい方の金額が必要となります。

自己資金で常時確保とは

自己資金は、原則として預貯金の残高証明書により証明しますが、預貯金以外の流動資産(売掛金等)を含めることもできます(この場合は、事前に運輸支局等に確認したほうが良いでしょう)。

常時確保とは、残高証明を、許可申請時に添付書類として提出(1回目)し、許可が出る前の適宜の時点(=運輸局の指示があるタイミング)にて2回目の残高証明を提出することによって行います。残高証明の提出は2回ですが、「常時確保」とされているので、途中に必要な額を下回ると常時確保されていない、と判断される可能性がありますので、注意が必要です。

欠格要件に該当しない事などを証する書類

ここで証明する必要があるのは・・・

  1. タクシー許可の欠格事由に該当していないこと
  2. 運送事業関係の法令(道路運送法、貨物自動車運送事業法、タクシー事業特別措置法など)に違反して処分を受けてから一定期間が経過していない者でないもの(法人の場合はその役員も同様)
  3. 加入義務がある社会保険に加入する計画があること

の3点です。

以上は、それぞれを「宣誓書」として申請書類に添付することで明らかにします。

上記の「1」「2」について詳しく知りたい方は‥‥介護タクシー許可の要件  後半の部分をご覧ください。

申請者に関する情報として必要な書類

既存法人の場合必要な書類
  1. 定款または寄付行為の謄本 (寄付行為とは、財団法人等の定款にあたるものです)
  2. 最近の事業年度の貸借対照表
  3. 役員または社員の名簿および履歴書
新設法人の場合に必要な書類
  1. 定款または寄付行為の謄本
  2. 発起人、社員または設立者の名簿および履歴書
  3. 設立する法人が株式会社の場合は株式の引受人または出資の状況および見込みを記載した書面
個人が申請する場合に必要な書類
  1. 資産目録
  2. 戸籍抄本
  3. 履歴書

以上が、介護タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定))の許可申請に必要な書類の解説でした。けっこうたくさんの書類が必要だと感じられたのではないでしょうか?規制緩和が進められている世の中ではありますが、人命に関する運送事業なので、簡単な手続では許可が取れないということですね。

では続いて、手続の流れをカンタンに見ておきましょう。

介護タクシー許可の申請手続きの流れ

大まかな流れは下記のようになっています。

介護タクシー許可申請の流れ(関東地区)

許可申請書の提出

以上で説明した申請書、添付書類等を揃えて、管轄の運輸支局に提出して申請します。

審査基準に基づく審査

・審査基準とは ・・・ 許可申請審査基準 許可申請審査基準細部取扱い  です。
・上記をわかりやすく解説したページは ・・・ 介護タクシーの許可要件  です。
・関東以外では「法令試験」への合格が審査基準の一つとなっています。
・申請受理から許可(または不許可)までの標準処理期間は2カ月とされています。。

許可処分 (または却下(審査基準不適合)

・審査の結果、基準に適合していれば「許可処分」となります。不適合の場合は「却下」となり、以下に進みません

許可書の交付

・許可処分後は、申請をした運輸支局で許可書が交付されます。
・許可後は、運輸支局で説明される各種の手続きを実施します。

営業開始までの手続

・登録免許税の納付
・運転者の選任と適性診断受診
・車両の登録やタクシーメーターの取付など
・任意保険の加入
・車体表示や営業所への掲示物の掲示などを行う ・・・など

営業開始、運輸開始届

・許可後、営業開始までに必要な事項が完了したら、営業開始ができます。許可後、6カ月以内に運輸開始が必要です。
・30日以内に「運輸開始届」を提出しなければなりませんので、注意しましょう。

関東では法令試験が免除

上記の「許可申請の流れ」の「2.審査基準に基づく審査」の中に、関東以外では法令試験の合格が必要と書きました。

実は、現時点(令和3年)では関東運輸局管内のみ役員法令試験が免除されているのです。なので、関東以外の運輸局管轄地区では専従役員の内1名(個人の場合は本人)が法令試験に合格しないと介護タクシー事業が許可されません。

実際には「(法令試験の合格を)省略することができる」と関東運輸局の部長名の通達で公示しているだけですし、他の運輸局では実施されているものなので、関東でも試験合格が必要になる可能性もないとはいえません。試験はそう簡単なものではないので、試験合格が求められていないうちに許可を取ることを検討するのも良いではないでしょうか(ただし、必要な法令知識は持っておかないといけませんが・・・)。

今回は、介護タクシーについて許可申請を行うために必要な書類等について、解説してきました。途中にも書いた通り、旅客運送は人命にかかわる事業でもあり、許可の手続き等もカンタンではありません。

皆様の時間と労力を、事業の成功に向けて有効に活用するため、煩雑な書類作成や手続は、専門の行政書士におまかせになることも、ぜひご検討ください。

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また、介護タクシーは許可取得後もすぐには事業開始できません。運輸開始までにやるべきことがいろいろあります。当事務所では、許可取得はもちろん、許可後運輸開始までに必要な手続きも一貫してサポート可能です。介護タクシー許可をお考えの方はお気軽にご相談下さい。

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