レンタカー許可申請においては「申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けている者」でないことが要件の一つです。
また、おなじく添付書類である「貸渡しの実施計画」には、「 自動車運送事業類似行為の防止を図るための体制・計画」を記すことになっています。
これらを見ると、レンタカー許可では「自動車運送事業類似行為」の防止が重要になっている読みとれます。では、「自家用自動車運送事業類似行為」とは何か、許可申請にあたってどう対応したらよいか、について解説します。
自動車運送事業類似行為とは
旅客運送にしても貨物運送にしても、自動車を用いて行う運送事業は基本的に国の許可が必要な事業です(貨物軽自動車運送は届出事業)。
この許可を受けて運送事業を行うクルマは、ナンバープレートの色が一般のクルマと異なり「緑ナンバー(軽貨物は黒)」であることは多くの方がご存知と思います。 これに対して、国の許可を得ず白ナンバーで有償の運送を行うことが、いわゆる「白バス」「白タク」「白トラ」といわれる行為であり、これらを「自動車運送事業類似行為」といいます。
自動車運送事業経営類似行為による処分
乗合バス、貸し切りバス、タクシーといった「旅客運送」は、道路運送法で、トラックなどの貨物運運送は「貨物自動車運送事業法」で規制されています。 いずれも(貨物軽自動車運送を除く)、国土交通大臣の許可を受けなければ営業できません。
また、許可を受けてこれらの事業を行う場合は、事業用自動車登録をして緑ナンバーの車で行う必要があるのは上述の通りです。 これらの事業法では、無許可営業や、自家用自動車による有償運行を禁じており、違反したものに懲役または罰金の刑を科すと定めています。
レンタカー業との関係
レンタカー業は、「事業として有償で」、「自家用車を貸渡す」ものですから、運送事業との隣接領域にあるといえます。 もっとも典型的なパターンは、「運転手付きマイクロバスをレンタカーとして貸すこと」でしょう。
これを認めてしまうと、貸し切りバス事業が許可制であることが成立しなくなってしまいます。
したがって、レンタカー事業において、マイクロバスの貸渡しは特に許可条件や運用が厳しく定められているところです(参考:レンタカーにできるクルマ、できないクルマ) 。
このようなことから、レンタカー業の許可に関する審査基準(公示基準)や、許可申請書の添付書類の記載内容においても、「自動車運送事業類似行為の防止」が強く要請されています。
レンタカー業許可の詳しい解説は レンタカー業を開業するには・・・許可申請ガイド
貸渡しの実施計画における「自動車運送事業類似行為の防止」
- 自動車運送事業類似行為の防止を図るための体制・計画
- 事務所ごとに配置する責任者
- 従業員への指導・研修の計画等
- 自動車運送事業類似行為の防止を図るための貸渡しの実施方法
- その他貸渡しの適正化を図るための計画
- 保険の加入状況・加入計画
- 整備管理者(整備責任者)の配置計画 等
となっています( 3.はこのページとは関係がないので以下では割愛します)。
(参考)
レンタカー許可申請に必要な書類は レンタカーを開業するには・・・許可申請ガイド
自動車運送事業類似行為の防止を図るための体制・計画
事務所ごとに配置する責任者これは、事務所(=営業所)ごとの責任者の役職・氏名を記すだけですので、難しいことはありません。
従業員への指導・研修の計画等
この点は、許可申請書添付書類の様式例に、記載内容があらかじめ2点例示されています。
自動車運送事業類似行為の防止を図るための体制・計画として十分な内容であれば、オリジナルな内容でも許可されるとは思われますが、多くの場合、あらかじめ記載された内容のままで許可申請すると思います。従って許可後に実施すべき事項として内容は理解しておくことが必要です。
まず一点めは、
・ 新規採用の従業員に対して、自動車運送事業類似行為防止を図るための道路運送法関係法令の研修を行うとともに、毎年1回責任者から全従業員に対して講習を行うこととする。
次に
・ 自動車運送事業類似行為防止を図るための小冊子を作成し、全従業員に配布する。
となっています。
自動車運送事業類似行為の防止を図るための貸渡しの実施方法
この項目も、「貸渡しの実施計画」様式例に、記載内容が例示されています。その内容は
貸渡しに関しては、「レンタカー事業者が行う運転者に係る情報提供のあり方について」(平成16年3月16日付け国自旅第234号)の趣旨を徹底し、運転者に係る情報提供を行う場合には、その適正化に努めることとする。
となっています。
この中の、「国自旅第234号」というのは行政内部の通達ですが、そこでは…
貸渡しに付随した運転者の労務提供(運転者の紹介・斡旋を含む)を行ってはならない
・運転者に関する情報提供を行う場合でも、特定の運転者情報を提供しない事、運転者の手配はレンタカーの借受人が自らの責任で行うことを徹底する
といったことを定めており、結果として運転手付きレンタカーまたはそれに近い行為が行われないように徹底を図る内容となっています。
クルマを貸し出すだけで、運転者について手配、紹介、情報提供も行わない場合には問題ありませんが、情報提供を行う場合には、通達に書かれている内容をよく踏まえて行う必要があります(ここでは、細部までは触れません)。
当事務所のサポート内容
以上の通り、許可を受けた後もレンタカーの営業のためには、従業員への指導・研修などを適正に実施していく必要があります。
当事務所にレンタカー業許可申請をご依頼いただいたお客様には、上記の”自動車運送事業類似行為防止のための”、「従業員への指導・研修の計画」で記した内容を実施するための小冊子、同行為防止のための国交省通達文書等を、紙の資料およびCD-ROMに焼いてご提供しており、許可申請から開業の研修等まで、トータルにレンタカー業をサポートいたしております。
業務名 | 内 容 | 料金(税込) |
---|---|---|
レンタカー許可 新規申請 | ・許可申請書作成 ・貸渡約款作成、貸渡の実施計画書など添付書類一式作成 ・許可申請代理、許可書の受領 ・レンタカー事業者証明書の取得 | 70,000円 |
お問い合わせ
〒338-0002
埼玉県さいたま市中央区下落合2-19-14
コーラルトート101