介護タクシー 許可後にやること

介護タクシー(一般乗用旅客運送事業・福祉輸送限定)は、許可申請受理後、要件を満たしていれば概ね2カ月後に許可となります(=標準処理期間が2カ月)。

ただし、許可が下りてすぐに事業開始可能、とはならないことは他の運送事業(例えば貨物トラック事業など)と同様で、やるべきことがいろいろあります。

このページでは、介護タクシーの許可後、最終的には運輸開始届を行うまでに行うべきことをまとめておきたいと思います。

参考ページへのリンク

介護タクシーの基礎知識は…  介護タクシーとは

介護タクシーの許可については…  介護タクシーの許可要件

全体の流れ

許可後にやるべきことを、まず順を追ってみていくと以下の通りです。

  1. 登録免許税の納付と届出
  2. 運行管理者・整備管理者の選任と届出(必要な場合)
  3. 事業用自動車の登録
  4. 指導主任者の選任と届出
  5. 設備と車両の整備(掲示物や表示など)
  6. 運輸開始届出

許可書を受け取る際に、「許可事業者講習資料」といった資料を渡されます(実際には講習はなく資料を渡されるのみ)。くわしくはその資料に書かれていますが、ザっと確認していきましょう(登録免許税の納付と届出は除きます)。

運行管理者、整備管理者の選任と届出

タクシー事業では、一般的なタクシーまたは福祉輸送限定であるかにかかわらず、5台以上の事業用自動車を配置する営業所では資格要件を満たす運行管理者、整備管理者を選任し、法令に定められた業務を行わせる必要がありますので、該当する事業者は許可後にまず運行管理者・整備管理者選任届出を行うことから始めます。

5両未満の営業所では、選任届出を行う必要はありません。運行の管理については、許可申請書に添付した「運行管理等の体制」に基づいた適切な管理を行うことが必要です。

事業用自動車の登録

事業に使用する自動車に緑ナンバーを付けるには、自動車登録部門(運輸支局または自動車検査登録事務所の登録窓口)に事業用自動車等連絡書と、通常の登録必要書類を提出することが必要ですので、まず運輸支局の輸送担当に事業用自動車等連絡書を提出して「経由印」を受けます。

すでに緑ナンバーが付いている事業用自動車を自社名義(使用者)にするには、旧使用者である事業者が減車手続きをし、その減車の連絡書も添付します。

事業用自動車等連絡書の他に登録に必要な書類は、自家用車の登録に必要な書類と同様です。つまり、購入した自動車を事業用に登録するならば、車検証原本、譲渡証明書と旧名義人の印鑑証明、自社の印鑑証明書…等となります。

この時に注意が必要なのは、事業用自動車の登録に車庫証明は必要ない、ということです。それは、事業用自動車等連絡書に輸送担当が経由印を押す際には、その事業者(営業所)の許認可の情報等ので自動車の保管場所確保が確認できているからです。

上記で車検証の書き換えが終わったら、税申告を経てナンバー交付窓口でナンバープレートの交付を受け、後部ナンバーの封印の取付を受けます。ナンバーと封印の取付は、資格のある行政書士等が出張封印で行うこともできます。

指導主任者の選任届出

指導主任者についても、許可申請の添付書類である「運行管理等の体制」の1項目ですが、許可後は改めて選任届出を行います。

タクシー事業者はドライバーに対して、自動車運送事業運輸規則にもとづいて「営業区域内の地理並びに旅客及び公衆に対する応接に関し必要な事項」の指導監督を行う義務があり、その内容や期間、組織等を「指導要領」として定めることが必要です。指導主任者は、指導要領に基づく指導監督事項を統括処理することがその職務となっています。

施設や自動車に関する必要事項の整備

みだしに「整備」と書きましたが、ここでの意味はいわゆる自動車整備とは違います。営業所には事業者名の表示や運賃料金、運送約款の掲示が必要であり、自動車には事業者名等を車体表示することなどが必要ですので、運輸開始に伴いこれらの事項を整備します。また整備した内容は、運輸開始届出で写真等で報告することになります。
それぞれ確認していきましょう。

施設(営業所、休憩施設)に関する整備事項

  1. 事業者名の表示 :入口等に事業者名が確認できる看板等の表示を行います。
  2. 運賃料金と運送約款は営業所に掲示することが必要です
  3. 営業所は一般的に必要とされる事務が行える状況とすること、休憩施設も通常考えられる程度の休憩ができること(仮眠が必要な場合は仮眠が可能なこと)が必要です。

車庫に関する事項

事業用自動車車庫は、必要な免責や前面道路の幅員等を許可申請時に記載、図示していますので、その状況ができていれば、運輸開始届に添付する写真を、運輸支局で指示されたように撮影します。

事業用自動車への表示(車体・車内)

上記で事業用自動車として登録、緑ナンバーの取付は行っているはずですので、あとは自動車の車体表示を行います。

車外表示

  • 表示事項1:事業者の氏名または名称もしくは記号(通称名等を含む)
  • 表示事項2:「限定(民間患者等輸送車)」または「限定(福祉)」
  • 文字の大きさ:1文字の縦・横は50mm以上

車内表示

  • 表示事項1:事業者の氏名または名称および自動車登録番号
  • 表示事項2:運賃割増(黄色地に赤文字で車内向けに表示):割増を適用しない場合は不要
  • 表示事項3:運賃・料金の内容(A6判で前席後方の旅客から見やすい位置に表示)

これらの車外・車内表示は、下記の運輸開始届出に際して提出が必要な写真の一部ですので、早めに準備しましょう。

運輸開始届出

以上では一部の必要事項(社会保険への加入、任意保険の付保、日報等の帳票整備)等は割愛しましたが、これらを含めて整備を行い、すべて調ったら運輸開始が可能となります。運輸開始後はその30日以内に運輸支局に運輸開始届出を行います。ちなみに、運輸開始は許可後6か月以内でなければなりません。

運輸開始届の必要書類

  1. 事業用自動車の車検証写し
  2. 任意保険の保険証写し
  3. 事業用施設の写真(※)
  4. 就業規則の写し(作成義務のある事業者)
  5. 労働保険/保険関係成立表の写し
  6. 社会保険新規適用届の写し

※事業用施設の写真については、「事業用施設等の写真提出要領」で確認しましょう。

介護タクシー運輸開始届の写真提出要領

まとめ

以上で、許可後に整えるべき事項や、運輸開始した後の届出まで一通り確認してまいりました。この後は、運行管理や車両管理に関する帳簿類を備え付けて適切な管理を行いつつ事業を運営していき、さらに毎年5月末日までに「輸送実績報告書」を提出する、という流れになります。

介護タクシーに限りませんが、営業許可の取得はゴールではなくスタートです。特に自動車運送事業では「安全運行」が最も重要になります。

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