貨物利用運送事業の登録(第1種)をお考えの方へ

こんなお悩みありませんか?

  • 第1種利用運送を始めたいが、何から手を付けてよいかわからない
  • 営業所が都市計画法等関係法令に抵触しない・・・ってどういうこと?
  • 登録申請するために必要な書類がわからない

このようなことでお困りでしたら、以下の記事をお読みください。

第1種利用運送事業の登録は、要件はそれほど複雑ではありませんが、必要な書類はそこそこ多く、手続き期間も2~3か月と、ご自身でやろうとすると少々手を焼く手続きかもしれません。

営業所等の施設は、「都市計画法等の関係法令に抵触しないこと」が要求されていますが、これってどういうことか、不慣れな方にはわかりにくいですよね。

煩雑な手続きは専門の行政書士にまかせて本業に集中することも一つの方法ですので、当事務所へのご依頼もご検討ください。

では、登録に必要な要件、書類、手続を見ていきましょう。

第一種貨物利用運送事業の登録

第一種貨物利用運送事業の登録要件

国土交通大臣による第一種貨物利用運送事業の登録を受けるには、「事業遂行に必要な施設」「財産的基礎」「経営主体」の3つに関して定められた要件を満たすことが必要です。

事業遂行に必要な施設

  1. 使用権原のある営業所等を有していること
  2. 上記1の営業所等が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと
  3. 保管施設を必要とする場合は、使用権原のある保管施設を有していること
  4. 上記3の保管施設が都市計画法等関係法令に抵触しないこと
  5. 上記3の保管施設の規模、構造及び設備が適切なものであること

使用権原のある営業所等とは

営業所等について、自己所有かまたは賃貸借契約等によって正当に使用する権利がある、ということです。権利もなく勝手に使っているということは普通ないでしょうから、この点はあまり問題にならないと思います。

使用権原は、登記簿謄本や賃貸借契約書などで証明する必要はなく、申請者自身の「宣誓書」を提出すればOKです。

保管施設を必要とする場合の保管施設についても上記と同様です。

関係法令に抵触しないとは

都市計画法等関係法令に抵触しないこと、とありますが、これは貨物利用運送事業に関して特別な定めがあるというより、適法に建築する(建築された)建物を営業所等としなければならない、ということです。

農地法により農地には基本的に建物が建築できませんし、都市計画法上の市街化調整区域も原則的に建築できないので、営業所等を設けることができません。

建物が建てられる地域でも、都市計画法と建築基準法により、用途地域ごとに建物の用途に制限があります。用途地域が第一種低層住宅専用・第二種低層住宅専用・第一種中高層住宅専用・第二種中高層住居専用・田園住居の5つの用途地域内は、店舗・事務所が設けられないか、規模・目的等が大きく制限されるため、貨物利用運送事業の営業所等の設置は不可または困難です(詳しくは、下のリンクから)。

以上は、保管施設を必要とする場合の保管施設についても同様です。

財産的基礎

第一種貨物利用運送事業の登録を受けるには、事業の遂行のため必要と認められる財産的基礎を有することも求められます。運輸局の通達文書では単に「純資産」と書かれている場合がありますが、詳しくは貨物利用運送事業補施行規則に「基準資産額」として定められており、最近の貸借対照表を用いて下記の通り算出します。

基準資産額 = 貸借対象表の資産合計額 - 創業費その他の繰延資産および営業権 - 負債総額個人の場合、財産に関する調書を用いて同様に算出します)

必要な基準資産額は、300万円以上です。

登録拒否要件に該当しないこと

「経営主体」(法人の場合はその法人と役員、個人の場合は本人)が登録拒否要件に該当しないことが必要です。すなわち、第一種貨物利用運送事業の登録を申請したものが次のいずれかに該当する場合は、登録を受けることができません。

  1. 一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
  2. 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
  3. 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
  4. 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
  5. 船舶運航事業者若しくは航空運送事業者が本邦と外国との間において行う貨物の運送(以下「国際貨物運送」という。)又は航空運送事業者が行う本邦内の各地間において発着する貨物の運送(以下「国内貨物運送」という。)に係る第一種貨物利用運送事業を経営しようとする者であって、次に掲げる者に該当するもの イ 日本国籍を有しない者 ロ 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの ハ 外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体 ニ 法人であって、イからハまでに掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの
  6. その事業に必要と認められる国土交通省令で定める施設を有しない者
  7. その事業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
(6は前述の「事業遂行に必要な施設」を有しないこと、7は同様に前述の「財産的基礎」を有しないことです)

第一種貨物利用運送の登録手続き

登録するための要件が確認できましたので、次は登録申請手続きに移りましょう。 最初に必要書類です。

登録申請に必要な書類

第一種貨物利用運送の輸送モードは4種類あり、登録に必要な書類とその様式も若干の違いがありますが、大きくは変わりません。以下は「自動車」による第一種貨物利用運送事業の登録申請をベースに解説します。

  1. 第一種貨物利用運送申請書事業登録申請書
  2. 事業の計画 利用する区間(仕立地、仕向地など)、主たる事務所所在地、営業所の名称所在地 保管施設の概要、利用する実運送事業者の概要 等を様式に基づき記載します
  3. 利用する実運送事業者との運送に関する契約書の写し (”利用の利用” の場合、自社が利用する貨物利用運送事業者との契約書になります)
  4. 貨物利用運送事業の用に供する施設に関する事項を記載した書類 ・都市計画法等関連法令に抵触しないことを証する宣誓書 ・営業所等の使用権原を有することを証する宣誓書 〇貨物の保管体制を必要とする場合 ・保管施設の面積、構造、付属設備を記載した書類 ・使用権原を有することを証する宣誓書
  5. 既存法人の場合 ・定款または寄付行為および登記事項証明書 ・最近の事業年度における貸借対照表 ・役員または社員の名簿および履歴書
  6. 法人を設立しようとする場合 ・定款または寄付行為の謄本 ・発起人、社員または設立者の名簿および履歴書 ・株式会社を設立しようとする場合、株式の引受けの状況および見込みを記載した書類
  7. 個人の場合 ・財産に関する調書 ・戸籍抄本 ・履歴書
  8. 登録拒否事由に該当しない旨を証する宣誓書(役員の連署)

上記の必要書類の他、独自の運送約款を定めて運送事業を行う場合、登録申請と合わせて利用運送約款の認可をうけなければなりません。 ただし、各輸送モードごとに国土交通省から示されている「標準利用運送約款」を用いる場合には、この認可申請は不要で、事業計画にその旨記載して登録申請すればOKです。

登録申請手続きの流れ

要件等が確認出来たら、書類を作成・収集して運輸支局に登録申請します。登録後も運賃料金設定届や営業所等への掲示の実施などやるべきことがあります。ざくっとした流れは下図の通りです。

要件の確認

計画している事業が第1種利用運送事業に該当するか、登録要件に適合するか…などを確認します

必要書類の収集と作成

・申請書、事業計画、宣誓書等の書類を作成します

・運送契約書、定款、登記事項証明書、貸借対照表等を取り揃えます

登録申請

・管轄の運輸支局に書類一式を添えて登録申請します

・受理されると、役所で審査が行われます ⇒標準処理期間=2~3か月

登録/登録免許税の納付

・審査が完了し登録が行われたら、登録通知書を受け取り、登録免許税9万円を納付します

運賃料金設定届

・運賃料金を設定し、30日以内に地方運輸局に運賃料金設定届を提出します

営業開始

・営業開始までに、営業所等の講習のみ安い場所に法定の掲示内容を掲示します (掲示内容は次項に示します)

*以上が完了すれば、晴れて営業スタートできます!

登録後、営業開始後にやること

法定掲示物の掲示

上記ステップの7、公衆の見やすいように掲示しなければならない内容は下記のとおりです。

  1. 第一種貨物利用運送事業者である旨
  2. 利用運送機関の種類
  3. 運賃および料金(消費者を対象とするものに限る)
  4. 利用運送約款
  5. 利用運送区域または区間
  6. 業務の範囲

定期報告

貨物利用運送事業の登録または許可を受けた事業者は、「事業概況報告書」と「事業実績報告書」を毎年定められた期限までに提出しなければなりません。

<提出先> 事業概況報告書、事業実績報告書ともに、「運送機関の種類」と「事業の種別」ごとに、国土交通大臣または所轄地方運輸局長です(詳しくは 利用運送定期報告窓口 をご参照ください)

事業概況報告書

事業概況報告書は、輸送モード別・事業種別ごとの損益(収益、費用、損益、利益率)等を総括表と明細表に表したものと、損益計算書、貸借対照表で構成されます(参考:事業概況法告書様式)。

この報告は、それぞれの事業者の決算日から100日以内に行います。

事業実績報告書

事業概況報告書は、貨物の取扱量(トン数)を、輸送モード・事業の種類別や、貨物発着地、仕立地・仕向地等にわけて報告するものです(参考:事業実績報告書様式)。

こちらは、全事業者とも4月から3月までの1年間分について、7月10日までに報告を行うことが必要です。

まとめ

このページでは第一種貨物利用運送の登録のための要件、書類、手続きを説明してきました。

そもそも利用運送って? 種類はどんなのがあるの? という疑問のある方は

許可要件が厳しい一般貨物自動車運送事業に比べ、貨物利用運送事業の場合、有資格者や車両の確保などが必要なく、所要資金も比較的少額で始めることができます。 ICT活用により、シェアリングエコノミーや各種のマッチングビジネスなど、新しいサービスも次々に生まれています。物流関連でも貨物利用運送の仕組みを使ったビジネスチャンスはすくなからず存在するでしょう。

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