仕事で走るトラック 白ナンバーと緑ナンバー

業務(仕事)で走るトラックに、白ナンバーと緑ナンバーがあることはご存知の方も多いと思います。

では、その違いはなんでしょう?白ナンバーは自家用、緑ナンバーは運送業などの事業用、ということも知っている方も少なくないかもしれません。

でも、同じようなものを同じように運んでいるトラックでも、白と緑、違うナンバーをつけて走っているケースもあるのをご存知でしょうか?

今回は、運送業の許可が必要なのかどうか、という点の解説記事わかりやすくするための参考記事です。ご関心があったらお読みください。

パンメーカーの場合

唐突ですが、まず初めに製パンメーカーの配送車の場合を事例に考えてみましょう。

製パンメーカーの場合、日持ちのしない日配品という商品の特性上、メーカーと小売店の間に卸業者(問屋)は介在しません。従って、パンメーカーの工場で作られた商品は、メーカーの配送便でスーパー、コンビニ等の店頭に届けられます。

このようなパンの配送に使われているトラックに、白ナンバーと緑ナンバーの2種類があるのをご承知でしょうか?

スージーちゃんのトラック、といえば言わずと知れた製パン最大手のあの会社(Y社)のトラックですが、このスージーちゃんトラックのナンバープレートは「白」です(エリアなどによって違う場合もあるかもしれませんが)。

このY製パンの場合の配送は、自社配送です。トラックのドライバーはY製パンの社員さんで、トラックも自社のもの(リース等含む)、荷物も自社の所有物(配送先で引き渡すまで)ということで、運賃を得て運ぶ運送業には該当しません。

この会社の場合、最大手として商品取扱店が多いため、積載効率等も高いなどにより、運送会社に委託するより自社配送することが収益にプラスと判断されるといったことかが考えられます。

これに対して、他の多くの製パンメーカーの配送車は「緑ナンバー」のトラックです。これは、パンメーカーが運送会社に配送を委託して運んでいる、ということです。

これは最大手に比べると配送効率が落ちる、といったことあるかもしれませんし、餅は餅屋というように、配送業務は運送会社に委託したほうが自社の事業マネジメント等にはプラス、と考えているのかもしれません。

コンビニの配送車などの場合

道路を歩いていると、または車を運転していると、大手コンビニエンスストア(CVS)のロゴマークが大きく書かれたトラックをよく見かけます。会社のマークがついたトラックなのだから、そのCVSチェーン自身のトラックなのでしょうか?

こちらは、パンのスージーちゃんトラックとは異なり、ほぼ例外なく「緑ナンバー」の、運送会社のトラックとなっています。

同様のことは、ガソリンスタンドに燃料を運ぶタンクローリーにも言えます。タンクローリーのほとんどは石油元売り会社のマークを付けて走っていますが、その運行は石油元売り会社から委託を受けた運送会社が、運賃を収受して運んでいるので、運送事業用のクルマ=緑ナンバー となっています。

これらは、メーカー、CVS、石油元売りなどの会社はそれぞれ本業に専念して、物流の仕事は専門の運送会社に委託する、「水平分業型」で配送などを行っている、ということです。

これに対して、パン最大手のY製パンの場合は、ある意味垂直統合型といえるかと思います。

どちらが有利か、一概には言えないことと思いますが、少なくとも、作る仕事、店頭で売る仕事・・・などと切り離して「運ぶ仕事」を行う場合、自動車には緑ナンバーを付けること、そのためには運行する会社は運送業の許可を受けること、が必要になります。

運送業(一般貨物自動車運送事業)許可の概要はこちらから

運送業の許可が必要なのはこういう場合

以上のように、運ぶ部分を独立した仕事して行う=運ぶことに対してお金をもらう仕事、は基本的に運送業に該当し、運送業許可が必要、ということがお分かりかと思います。ここでいう”運送業”は正式には「一般貨物自動車運送事業」といいます(特定貨物自動車運送事業というものもありますが、ここでは割愛します)。

それでは、一般貨物自動車運送事業とはどのような事業として規制されているかをカンタンにお話してみます。

運送業(貨物)の定義

運送業(一般貨物自動車運送事業)に関する規定は、「貨物自動車運送事業法」という法律に定められています。すなわち、

「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業

貨物自動車運送事業法第2条第2項(一部省略)

であって、軽自動車等を使うもの、特定の荷主だけの荷物を運ぶもの以外のものである、とされています。

言い換えると、自社の荷物でないものを他社(他人)から依頼を受けて(=他人需要に応じて)、有償で(=運賃をもらって)、自動車を使用して運送する、という事業のことです。

したがって、冒頭のY製パンのように、自社の商品を自社で運送することは、他人の需要に応じているのではなく、また運ぶこと自体は有償ではない、ので運送業に当たらないのです。なので、トラックは白ナンバーでOK、運送業の許可も不要、ということになります。

メーカーでなくとも、卸売業(問屋など)のように、一度メーカーなどから商品を仕入れ(自社の所有物にして)、それを自社で運ぶ場合なども、運送業には当たらないので、白ナンバーのトラックで運べます。

一方で、同じ卸売業でも、自社配送は行わず配送は委託している会社もあります。この場合、トラックは運送会社の緑ナンバーで、運送会社は運賃を受け取って運んでいるということです。

参考ページ  :  緑ナンバーが必要なのはどんなとき?

これに対して、自社の商品等でない荷物を、他社からの依頼で有償で運ぶことは、対価の名目をなんと証するかを問わずに、白トラ行為として貨物自動車運送事業法違反として検挙、摘発の対象になることがありますので、絶対に行わないようにしましょう。

まとめ

モノ(貨物)を運ぶこと自体が本業(運んで運賃をお)場合は運送事業として緑ナンバー、作ったものや仕入れたものを販売するため、または自社の本業に使用するために自社で運ぶ場合などは白ナンバーで運ぶことができる、というのがカンタンなまとめになります。

御社の事業形態、または今後の事業の展開に照らして、運送業許可の検討が必要とお考えになったら、お気軽に当事務所にご相談下さい。許可の要否、許可を取る場合の必要なことがらの概要など、はじめの一歩からご相談いただけます。

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