よくわかる!運送業に必要な「おカネ」

必要な「おカネ」は、運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可取得に最も高いハードルとなる要件かもしれません。

貨物自動車運送事業法では「許可の基準」の一つとして、「その事業を自ら適確に、かつ、継続して遂行するに足る経済的基礎及びその他の能力を有するものであること(第6条第3号)」と定めており、以下で解説する算出方法に基づく所要資金を用意する必要があります。

ここでは、財産的要件(=おカネに関すること)について解説します。(内容は関東運輸局管内の例としています)

資金計画

所要資金はどう算出するか

経済的基礎=資金計画は、国土交通省の公示基準で下表のとおり、費目ごとにどれだけを事業開始に要する資金(所要資金)とするかの算出基準が決められています。
車両費や施設費は、すでに自社で所有しているものが利用できる場合などは計上する必要はありません。

所要資金に計上する費目別の基準をざっくり示すと次のようになります。

所要資金の計上基準概要

※費目別明細をくわしく確認するには… 「事業開始に要する資金及び調達方法

そして、上表の合計額を所要資金として、「全額以上の自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること(公示基準)」と定められています。
自己資金は、「流動資産」を含めることができる場合がありますが、基本は預貯金で確保し、残高証明を提出することが必要です。

所要資金を常時確保する

申請日以降許可日まで所要額を”常時確保”する必要がありますので、預貯金の「残高証明」を・・・

 1回目 :許可申請時に添付して提出しします。

 2回目 :許可が出る前(役所からの指示により)に、2回目の残高証明の提出します。

このように、2回の残高証明の提出でいずれも所要資金を上回る自己資金を有することの確認が行われます。2回目は運輸局の指示で残高証明を出さなければならず、申請者側では提出のタイミングは決められません。なので、所要資金は”常時確保”しておかなければならない、ということになります。

この場合に、複数の銀行口座がある場合で1回目と2回目の残高が違う場合、それぞれ低い方の金額しか自己資金として認められないといったルールがありますので、この点は十分注意が必要です。

許可申請時に所要資金をある程度抑え気味に積算すること自体は可能ですが、許可前に役所の補正指示等により所要資金の額が申請時の残高証明額を超えてしまうと、その時点で申請却下になってしまいます。補正後の所要資金を上回る残高証明を2回目で提出できれば良い、ということではありませんので十分注意が必要です。

※所要資金の常時確保についてくわしくは ‥‥ 「自己資金額の考え方について

損害賠償能力

事業用自動車100両以下の事業者は任意保険の加入義務があり、その保証額は「対人無制限・対物200万円以上」でなければなりません。そして、その保険料を上記の資金計画に見積る必要があります。。また、危険物の輸送などを行う場合、必要な賠償金額を担保できる保険に加入することが求められます。

霊柩運送の場合などは・・・

霊柩運送、一般廃棄物運送、島しょ(離島など)でのトラック運送などは、「必要な車両数=5台」のシバリを受けません。

したがって、例えば1台で許可を受ける場合、上の所要資金の算出基準にあてはめると、車両費(購入代金またはリース料など)、運手者の人件費(給与・賞与・福利厚生費)、燃料・油脂費、などほとんどの項目の計算は車両1台での計算になりますので、一般的なトラック運送に比べると、かなり少ない所要資金で許可申請が可能になります。

まとめ

事業開始に要する資金の算出基準は2019年11月1日から改定され、それまで2か月分を計上することとなっていた人件費、燃料費、油脂費、修繕費が6ケ月分に、6か月分の計上とされていた車両費、施設購入・使用料が1年分の計上に、それぞれ引き上げられました。従って、必要な資金準備の点では許可のハードルは相当高くなりました。

当事務所では、許可申請をご検討の当初から、事業者様の現状と事業プランをよくお聞きし、資金計画の試算等についてもじっくりとご相談しながら許可取得のお手伝いをいたします。所要資金の試算方法や、金額の不測のご心配などでお悩みでしたら、一度当事務所に相談してみませんか?


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